先日ポケモンシングル対戦における型バレについて、考えさせられるツイートがありました。
レートはもう、もう実力を表せない
— SnowParty (@1209sung) January 4, 2019
ただのかたばれ情報ゲーム、じゃんけんだけだ
みんな適度に構築して、適度に選出してただ無意味な勝利を望む
勝っても遣り甲斐がなく負けると腹が立つ
それでもやめられないのは単純な執着か現状維持を願う人の本能か
SnowParty氏は13シーズン連続でレート2100超えを達成している凄腕プレイヤーです。扱うパーティは多種多様であり、プレイングの上手さだけでなく構築力も卓越した文句なしのトッププレイヤーといえるでしょう。
そんな彼がぼやいた「ポケモンは型バレ情報ゲーム」という話。
「確かにそういう側面あるよな〜」と頷けるところがあったのでここで考えてみます。
上位ほど再戦は多い
レートは上位ほど人数が少ないので再戦が多くなります。
例えばUSUMシーズン12では
2000超えは379人
1800超えは2051人(下図の379人+1672人)
になっています。
レート200差までマッチングすると仮定した場合、2200付近のプレイヤーは2000付近のプレイヤーの単純計算で5倍以上も再戦が起こることになります。(2051 ÷379 ≒5.4)
参考:PGL DATABASE
上位プレイヤーは再戦が多いんだろうなー、となんとなく想像できますね。
Twitterで再戦についての意識調査をしてみたところ、こんな結果になりました。
シングルレート終盤で、再戦に備えて相手のパーティ情報をメモしていますか
— とどりこ (@todoric0) January 13, 2019
どのレート帯の人が回答してるかわからないのでデータとしては不十分ですが、それなりの数のプレイヤーが再戦を意識していることは少なくとも読み取れると思います。
動画や生放送による型バレ
昨今、Youtube/ニコニコ/ツイキャスなどで盛んにポケモン対戦配信が行われています。放送に映った強者のパーティは記憶しておきマッチングに備える、という人もトッププレイヤーの中にはいるそうです。
ポケモン対戦配信は盤外での情報戦の温床というきらいがあり、対戦に水を差す側面があるのは確かです。ただポケモン対戦配信はそういったデメリット以上に対戦を盛り上げてくれるメリットがある、と私は考えているので、別になくなってほしいとは思いません。
私自身、「廃人予備軍の対戦実況」という動画からポケモン対戦に興味を持った人間ですし、同じようにポケモン実況に触発されてポケモンを始める人は沢山いるでしょう。
レート人口の減少が再戦増加の一因ですから、それを緩和してくれる対戦実況はやっぱり良きコンテンツだと思います。
再戦や対戦動画などによる型バレは仕方ないものとして、甘んじて受け入れる必要があります。
再戦を受け入れてどう勝つか
システム的に再戦を少なくするにはマッチングするレート帯を更に広げる必要があり、それはそれで問題です。レート数百下からのレートドレインにこれ以上怯えたくありません。
再戦の起こり難さとレート差マッチングの起こり難さはトレードオフであり、レート差マッチングの方がユーザーから嫌われる傾向にあります。
つまり再戦はレート対戦の本質的に避けられません。
となると勝つためには、
①再戦でも勝てるような汎用性の高いパーティを作る(意表つくだけじゃダメ)
②再戦数が無視できるくらい少ない試合数で上位まで駆け上がる(パーティを変える柔軟性と新パーティをすぐに使いこなす対応力が大事)
③型バレを練度の高さ(プレイングの上手さ)によって克服する
これらが大事です。
なお③の最たる例として、7世代13シーズン連続で2100超えの実力者なごし氏が挙げられます。
彼はUSUM7シーズン連続で同じパーティで2100超えを達成しています。自分の手の内だけがバレている状況でなぜ勝ち続けられるのか、私にはわけがわかりませんが、よほど練度が高いのでしょう。
常にトップに居るプレイヤーは①構築の汎用性②構築の柔軟性③練度、すべてある程度兼ね備えている気がします。
(その点、うだつが上がらない私の場合
①一発芸が好きで汎用性を落としがち
②構築が完成したら意地になって構成をあまり変えずに潜り続ける
③ほぼ毎試合ガバガバプレイングを発揮する
といった感じで、大して勝てないのも当然かもしれません。)
型バレによる情報的不利は避けられない
型バレしてるとわかってれば型バレ前提のプレイングが出来ますが、気づけないこともしばしばです。
相手がサブロムを使っていて、相手だけが再戦だと気づいてる場合。
”サン”等ありふれたTNの相手が構築を変えてきた場合。
気づかぬところで有名実況者の配信に映ってしまっていた場合。
対戦を沢山すればするほどこれらのリスクは増していきます。
残念ですが、パーティをコロコロ変える人ほど、あるいはゲームソフト(ロム)を多く持っている人ほど、情報面で優位に立てると言えるでしょう。(再戦が少ないレート帯にいる私のようなプレイヤーには無縁の話ですが)
SnowParty氏が
ただのかたばれ情報ゲーム、じゃんけんだけだ
みんな適度に構築して、適度に選出してただ無意味な勝利を望む
と語っているのも成程と思えます。
ブラッシュアップした「最強の構築」で戦うより、欠陥があっても型バレしていない「適当な構築」の方が勝ててしまうのでしょう。
「情報的に平等なハラハラドキドキの対戦」と「完成度の高い構築でのハイレベルな対戦」はレート対戦の最上位では両立できないのかもしれません。
ポケモンは面白い
型バレについて、2200超えを何度も達成している実力者じるぽけ氏はこう語っています。
◆型バレを利用する
シーズン終盤に差し掛かる直前、何人かのカバマンダ使用者の「型を一点読みされることが多くなってきた」という話を聞いていました。私も例外ではありません。特に露骨なのが、カプ・コケコの毒羽型の一点読みでした。
(中略)
92戦でレート2200越え+最終1ページ目という私個人では今までにない好成績を残すことができましたが、完成度としてはどの構成にカスタマイズした状態でもしっくりくることがほとんどなかったので、パーティ作りの難しさを再認識しました。
どんなパーティにも理想形というものは存在せず、常に環境に合わせてチューニングしていくことの大切さを学んだシーズンでした。
型バレを逆に利用して勝ってしまう強かさがカッコいいなと思い、1年前の記事ですが未だに印象に残っています。
そもそもトッププレイヤーたちは数百時間、数千時間単位でレート対戦や考察に打ち込んでいるわけですが、そんなに熱中できるゲームや趣味なんてそうはありません。
型バレなどが気になりだしてゲームを純粋に楽しめなくなったなら、単にそのゲームを味わい尽くした、ということだと思います。ゲームを新鮮な気持ちで楽しめる期間が終了したということ。
その期間を延長したいなら、熱意が復活するまで別の趣味に移行したり、そのゲームを別の楽しみ方で味わったりするのはどうでしょうか。
幸いポケモンにはシングルレート以外にもWCSルールや変則ルールのインターネット大会、有志による仲間大会などがあり、対戦ひとつ取っても楽しみ方がごまんとあります。ポケダンなど面白い外伝作品も多いですし、ポケモンカードに手を出すのも一興でしょう。
好きだったコンテンツを嫌いになって離れるなんて悲しいことですし、好きでいるうちに一旦距離を置くことも大事なのかなーなんて思います。
型バレの話からちょっと逸れましたが、つまり
- 上位を目指すなら型バレ上等の精神が必要
- シングルへの情熱が冷めたら他のルールも楽しいよ!
- ポケモン最高!
ってことです。
おわり。
SnowParty氏のブログ 파티소개, 눈파티의 작은공간 : 네이버 블로그
なごし氏のブログ 思考の裏側
じるぽけ氏のブログ Happy*Canvas
廃人予備軍の動画 廃人予備軍の対戦実況 by 暇士 - ニコニコ動画